「やる気が続かないのは“意思”のせいじゃない!科学が解き明かす習慣づけの秘訣」
「毎日コツコツ頑張ろう」と思っても、なぜか三日坊主で終わってしまう…。
子どもに「宿題やりなさい」「運動しなさい」と言っても続かない…。
実はこれは“性格”や“やる気の問題”ではありません。
心理学・行動科学の研究によると、習慣やルーティーンは 文脈(環境) と 自己効力感(自分ならできるという信念) に支えられており、ここが整わないと人は簡単に脱落してしまうのです。
1. 習慣を邪魔する「隠れた敵」
研究では、子どもや大人が Self-regulated(自己調整的) に何かを実践しようとするとき、最大の敵は Motivational Interference(動機づけの妨害) とされています。
例えば…
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気が散る(Distractibility)
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他のやりたいことを考えてしまう
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同時に別のタスクに取り組む(Task switching)
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悪い気分や持続力の低下
👉 これらが重なると、せっかくの「やる気」が削がれ、行動が止まってしまいます。
2. 習慣と自己効力感の役割
ここで重要になるのが Habits(習慣) と Self-Efficacy(自己効力感) です。
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習慣(Habits)
繰り返し行動するうちに文脈に結びつき、自動化される行動。
→ 意思の力を必要とせず、自然に実行できる。 -
自己効力感(Self-Efficacy)
「自分はできる」という信念。
→ 研究では、学業成績(GPA)やスポーツの成果、仕事での生産性にも直結することが報告されています。
習慣と自己効力感は相互に影響し合い、行動の持続を強力に支えます。
3. 習慣化の科学 ― 文脈と自動化
最新研究(Gardner, 2012 など)は「習慣は頻度ではなく、自動化(Automaticity)」で強さが決まるとしています。
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安定した文脈(同じ時間・同じ場所)で繰り返す
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特定のトリガー(例:帰宅後すぐにストレッチ)に結びつける
👉 これにより「強い習慣」が形成され、意志の消耗を減らします。
4. スポーツにおけるルーティーンの力
習慣と自己効力感は、スポーツの現場でも大きな武器になります。
NBAフリースロー研究
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プレーオフ14試合、284本のフリースローを分析
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成功率は ルーティーンを守った選手:83.7% vs 守らなかった選手:71.4%
👉 成功率を左右する重要な要素は「一貫性のあるルーティーン」でした。
ルーティーンの改善余地
さらに大学生を対象にした実験(Moradi, 2015)では、
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Singer’s Model(5ステップ:準備→イメージ→集中→実行→評価) に基づいたルーティーン
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自分で考えたルーティーン
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ルーティーンなし
を比較した結果、ガイドつきのルーティーンが最も効果的でした。
👉 つまり「ルーティーンはただ繰り返せばよいのではなく、科学的に設計できる」ということです。
5. 子どもの習慣づくりに応用するには?
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固定された文脈:同じ曜日・同じ時間・同じ場所で運動や勉強を行う
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小さなトリガー:「おやつの前に宿題」「帰宅後に5分運動」など
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ルーティーン化:毎回同じ流れを守る(準備→実行→振り返り)
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自己効力感の育成:「できたね」「続けられたね」と成功体験を積ませる
👉 習慣 × 自己効力感 × ルーティーン が揃えば、子どもの「やる気の持続力」は飛躍的に高まります。
結論
やる気が続かないのは、意志の弱さのせいではありません。
科学が示しているのは、文脈・習慣・自己効力感・ルーティーンの仕組みが整えば、誰でも行動を続けられるということです。
PHYSICAL MONSTER ACADEMYでは、この最新科学をトレーニングに活かし、子どもたちが「自然に体を動かす」習慣を作ることを目指しています。

