疲労と回復 ― 成長期に知っておくべきリカバリーの原則 🧬💤
1️⃣ 「練習すればするほど強くなる」は本当?
スポーツでは「たくさん練習すれば上手くなる」と考えがちです。
でも実際には、成長を決めるのは “疲労と回復のバランス”。
トレーニングによって一時的に疲労が生じ、
身体がそれを回復・適応させる過程で強くなります。
2️⃣ 超回復理論 vs フィットネス–疲労理論
従来よく知られているのが「超回復理論」。
トレーニングで一度下がった能力が、回復によって元より少し高いレベルに戻る――という考えです。
しかし、実際の身体はそんな単純な曲線では表せません。
現代ではより包括的な 「フィットネス–疲労理論(Fitness–Fatigue Model)」 が用いられています。
トレーニングとは、
「プラス(フィットネス効果)」と「マイナス(疲労)」が同時に起こること。
成長とは、疲労が抜けたあとにフィットネス効果だけが残る状態 のことです。
つまり、「やればやるほど伸びる」わけではなく、
“回復を挟んだときにこそ”成長が起こるのです。
3️⃣ 成長期の子どもは“疲れにくく・回復しやすい”
最新の研究では、子どもは大人に比べて👇
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有酸素的エネルギー供給が優位
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乳酸の蓄積が少ない
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神経系の回復が速い
といった特徴があり、一時的な疲労からの回復はむしろ速いことが分かっています(Ratel & Duché, 2012)。
しかし注意が必要なのは👇
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筋・腱・骨などの組織強度はまだ弱い
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疲労を感じにくく、無理をしやすい
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蓄積疲労が「成長痛」や「オーバーユース障害」につながる
つまり、「回復が速い=安全」ではなく、
“感じにくい疲労”をどう管理するかが重要なのです。
4️⃣ 科学的リカバリーの3原則
💤 ① 睡眠(Sleep)
最も効果的で、かつ見落とされがちな回復手段。
🍽️ ② 栄養(Nutrition)
トレーニング後30分以内の栄養補給が理想。
糖質とタンパク質を一緒に摂ると、筋回復とグリコーゲン補充が進みます。
例)牛乳+おにぎり、プロテイン+果物、鶏むね肉+ごはん
🧘♂️ ③ アクティブリカバリー(Active Recovery)
完全休養よりも、軽い運動やストレッチで血流を促す“積極的休養”が効果的。
例)軽いジョギング、フォームローラー、呼吸ドリルなど。
5️⃣ 「疲労の質」を見極める
すべての疲労が同じではありません👇
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身体的疲労:筋肉や関節の疲れ
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神経的疲労:反応や集中力の低下
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心理的疲労:ストレスやモチベーションの低下
どのタイプの疲労が溜まっているかを観察し、
リカバリー方法を使い分けることが大切です。
6️⃣ トレーニングとリカバリーは表裏一体
PHYSICAL MONSTER ACADEMYでは、
「トレーニング=身体に刺激を与える時間」
「リカバリー=その刺激を成長に変える時間」
という考え方でプログラムを設計しています。
✅ まとめ
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成長は「トレーニング中」ではなく「回復中」に起こる
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超回復理論だけでなく「フィットネス–疲労理論」で考えるのが現実的
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子どもは疲労からの回復が速いが、組織損傷リスクは高い
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睡眠・栄養・アクティブリカバリーの3本柱で安全に成長を支える

