コルブの経験学習理論とスポーツ現場 🎯
~「やって終わり」にしない学び方のデザイン~
1. 経験から学ぶ ― Kolbの4つのサイクル
アメリカの教育学者 デイヴィッド・コルブ(David Kolb) は、
「人は経験から学ぶ」という考えを体系化しました。
その学びのプロセスは4つの段階から成り立っています👇
1️⃣ 具体的経験(Concrete Experience)
→ 実際にやってみる・体験する。
(例:新しい動きを練習する、試合に出る、ミスを経験する)
2️⃣ 省察的観察(Reflective Observation)
→ その経験を振り返る。
(うまくいかなかった理由、どう感じたかを考える)
3️⃣ 抽象的概念化(Abstract Conceptualization)
→ 振り返りから理論や考え方を導く。
(なぜそうなったのか?何を変えればいいか?)
4️⃣ 能動的実験(Active Experimentation)
→ 新しい考えをもとに行動を変えて試す。
(フォームを修正する、新しい戦術を試す)
この4つのサイクルを繰り返すことで、学びが深まり、「できる」から「理解して使える」へ 変わっていきます。
2. スポーツ現場では「経験で終わる」ことが多い
スポーツの練習や試合は、まさに「具体的経験」の宝庫です。
しかし、多くの場合、練習や試合が 「やって終わり」 になってしまっています。
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ミスしても次のプレーにすぐ移る
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「もう一回やれ!」で終わる
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なぜうまくいかなかったかを考える時間がない
これでは 経験が“消費”で終わってしまい、“学習”にはなりません。
3. 経験を“学び”に変える仕組みが必要
スポーツ現場で重要なのは、経験を振り返る時間と対話です。
たとえば、
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「なぜ今のプレーはうまくいかなかったと思う?」
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「次に同じ場面が来たらどうする?」
といった問いかけをすることで、子どもたちは自分の中に「学びの回路」を作り始めます。
これがまさに、省察的観察 → 抽象的概念化 のステップです。
4. S&C(ストレングス&コンディショニング)にも当てはまる
トレーニングも同じです。
ただ動くだけでは「経験」で終わりますが、
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なぜこの種目をやるのか
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どこを意識すべきなのか
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終わったあとにどう感じたか
こうした問いを入れることで、トレーニングが“学び”に変わるのです。
特に子どものうちは、「考えるトレーニング」を通して
自己理解・身体感覚・判断力 が育ちます。
5. 保護者・指導者ができること 💡
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練習や試合後、「どうだった?」と聞く時間をつくる
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失敗を責めず、「次にどうする?」の視点で対話する
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結果だけでなく「考えた過程」を認める
この小さな積み重ねが、子どもの「学習サイクル」を回すサポートになります。
✅ まとめ
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コルブの経験学習理論は「体験→振り返り→理解→実践」の4段階
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スポーツは経験が多いが、振り返りが少ないと“学び”にならない
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S&Cでも、動くだけでなく「なぜ・どう感じた」を意識することで効果が高まる
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経験を“学び”に変える仕組みが、選手の成長を支える

